日時:2007年8月12日(日)~15日(水)
場所:穂高連峰(西穂高、奥穂高、涸沢岳、北穂高、南岳、槍ヶ岳)
人数:単独
形態:テント泊(3泊4日)
はじめに
穂高連峰は大きく分ければ北アルプスに含める事もあるが、ここではあえて分けて話を進めたい。この山域は、地図上では南北20km程度で西穂高岳(2909m)から始まり、日本第3位の奥穂高岳(3190m)を挟み、日本第5位の槍ヶ岳(3180m)を終点とする連峰で、3000m以上のピークを9箇所も持つ存在感十分な山域である。下部は針葉樹が生い茂り、梓川沿いには岩魚が泳ぐ清流を持ち、上部は荒々しい岩場となり、人を寄付けないかのように屹立している。北穂高岳(3106m)にある滝谷はロッククライミングのメッカで昭和初期から数々のクライマーを輩出している。また上高地や新穂高温泉など避暑地として観光地で有名な箇所を幾つか持つエリアでもある。それが故に一般客や初級登山者も多く日本の国立公園内においても最も活気のあるエリアといえる。
穂高連峰を縦断して思ったことは、このエリアは国内でも最も危険な場所だといえることだ。登山形態には色々あるが、北海道のように人が少なく道も整備されておらず、ヒグマに襲われる危険があったり、水の確保が難しいなどあるが、それとはまた一味違う。人も多く小屋や道も整備されているが、稜線に出ると岩場が大半で、その半分以上が危険箇所の通過となる。剱岳や不帰ノ嶮など局部的に危ない所はあるが、縦走中そのような場所が連続する所は少ない。また、浮石が多く、落石で自分が怪我したり、加害者になってしまう事もよくあるようである。当然自然落石もよくある。このような意味で、危険だと言える。実際、西穂高岳~奥穂高岳間は国内一般ルートでは最難といわれている。
そんなエリアにもかかわらず、知名度だけにとらわれ初級登山者が多数入山している。そのため、毎年のように死亡事故、重大事故、遭難などが続出しているのも問題である。
初級者が多くなっている事で私が感じたのは、まずマナーが悪くなっていること。挨拶をしたり、ルートを譲るということがない。あるいは気付かないのかもしれない。また宿泊地には16時までには到着していたいのだが、19時過ぎになって小屋に来ていた人も珍しくない。小屋にも迷惑がかかるし、遭難一歩手前で危険である。例を出すと、この時間になるとそろそろ就寝となるが、テント場上部で落石を起こし頭部くらいある落石を誘発し、テントに直撃し破損させてしまった。幸いな事に人に当たることはなかったが、直撃していたら死亡事故に繋がりかねない。その後、私を含めた他の登山客は安心してテント内に入れなかった。この事故以来、行程中落石に注意した。現に、岩場下山中上部で小さい石を落とされて私の頭部に直撃したが、小さかった故に痛いで済んだが大きかったらと思うと怖い。また、北穂高岳付近通過中、ドーム裏側にて(ロッククライミングするエリア)大きな落石と同時に人の悲痛な叫び声が聞こえた。何と言っていたが聞き取れなかったが、嫌な予感がした。その1時間30分後位にヘリコプターが上空を旋回していたので、ますます気になり、登攀者の無事を祈った。
人はなぜ苦労してまで山に登るのだろうか。それぞれ考え方はあるだろうが、私見を述べると今回のように計画を順調にこなし達成した時の喜びは久しぶりに大きかった。特に危険なエリアだけあり、それに対しする思い入れも強く、実際前述したような準備をはじめ条件などが完全に揃わないと行けない。
喜びとは少し違うが、自然を相手にすると学ぶ事は多い。特にテント山行の場合はそうである。例えば、水を入手するにも小屋で貰う事はできるが、200円/ℓと高額である。普段の生活では何不自由なく水を飲み、利用している。食べ物も自分で担ぎ上げるか小屋で高額と交換して購入するかになる。もちろん販売しているものは限られている。電気もない。寒暖や風雨など天候の影響をもろに受ける。トイレにしても綺麗ではない。風呂に入る事もできない。このように、山に入ると不便を感じたり、苦労する事が多い。しかし、そこから学ぶ物も多分にある。普段いかに恵まれた環境で生活しているかがわかる。恵まれた環境に「感謝」の念が生まれる。この縦断中、一日一日無事終了している時、山=自然に対して感謝の念が生まれた。余談となるが、釣りをしているが、魚を釣る行為も一匹釣るのがいかに大変かわかる。これもまた条件が揃わないと釣れないからだ。そう考えると、昔の人はまさに自然と常に接していたからそれがよくわかっていたと思う。獲物や食物を確保する事が自分達の生存に直結する。だから自然と山の神、川の神、動物の神など自然界に感謝の念を持ち、それを形としてお供え物をしたり、儀式をしたり、神を祭ったりしたのだと思う。そんなことも感じた。
落石事故以来、他人に対しても落石を誘発しないよう神経を使った。だから最終日は気が楽だった。危険箇所がないという安心感はこれほどまでに気楽だと思わなかった。槍沢を下り、森林限界に近付くと高山植物に目をやる余裕も生まれ、鳥のさえずりや木々の緑、透き通るような空などの綺麗さに感動した。まるで私を歓迎してくれているかのようだった。ここでも自然のよさを実感した。
8月12日(日)自宅――新穂高――西穂高山荘
行程時間:50分 行程距離:歩行距離2km
3:06 自宅出発
6:20松本IC 新穂高7:45?
8:40第一ロープウェー出発
9:25西穂高登山口出発
10:15西穂高山荘 18:45夕日 19:00就寝 快晴 微風
費用
南アルプス~松本IC¥1350(割り引き) 安房トンネル¥750 駐車代¥1000(500/日)
ロープウェー¥1500+荷台¥300 テント¥500 水¥200(1ℓ)*2=¥400
ラーメン¥800 カレー¥800 バッチ¥500 チューハイ¥350
8月13日(月)西穂高――ジャンダルム ――奥穂高岳――穂高山荘
行程時間:8h35m 行程距離:6km
3:10起床 4:20出発
5:15~5:25 独標 快晴 中風 直下鎖場あり
6:20~6:45 西穂高岳(2909m) 直下急登
7:10 赤石岳 鎖15m1箇所、小2箇所
7:35~7:45間ノ岳
8:15~8:30 天狗の頭 頂上広い 直下岩場登り
9:30~9:40 コブの頭直下 尾根合流点 浮石が多い
10:05コブの頭
10:10コル ジャンダルム→登り8分、下り5分
10:45コル出発
11:25~11:35 ロバの耳 鎖場、岩場嫌らしい。直下急登。浮石多い。
11:55~12:30 奥穂高岳(3190m)
12:55 奥穂高山荘 19:00就寝
費用
テント¥600 カップラーメン¥400 ビール¥580(350ml)
水¥300(150/ℓ) バッチ¥500
8月14日(火)穂高山荘――涸沢岳――北穂高――キレット ――槍岳山荘
行程時間:8h 行程距離:8.7km
3:20起床 4:40出発
4:55~5:10 涸沢岳
5:55 最低コル直上 鎖場連続、岩場嫌らしい
6:00~6:10 登り口
6:55~7:25 北穂高岳(3106m) 快晴
8:25~8:40 A沢のコル 長谷川ピーク直下 ここまで鎖場、岩場連続。落石注意。急坂
快晴、無風。
9:35~9:45 南岳登り口、梯子2箇所あり10m程度
10:25~10:45 南岳小屋
10:55南岳(3033m)
11:10天狗平分岐 11:25 2986mピーク岩稜、ゴロー帯
11:40~12:10 雪田下(中岳直下)頂上向って左側にルート。昔は右側?
13:00~13:10大喰岳(3101m)
13:35? テント場
17:40夕飯
18:45就寝
費用
バッチ¥500 牛乳¥250→北穂高
ジュース¥300、バッチ¥500、水¥200/ℓ →南岳小屋
テント¥500 ジュース¥400/500cc バッチ¥400 カレー¥1000、
水¥200*2(200/ℓ)
8月15日(水)槍ヶ岳――槍岳山荘――新穂高
行程時間:7h10m 行程距離:13km
4:00起床 4:40出発
5:00~5:50 槍ヶ岳(3180m)
6:10テン場 6:50出発
7:35~7:45 千丈沢乗越分岐 晴れ
8:40~8:55槍平小屋 テン場川沿いにあり広い 水無料 平坦地でのどかな感じ。
9:30滝谷避難小屋 出合 水場あり
9:45~9:55 休憩 樹林帯内
10:30白出沢出合い 分岐より林道となる
10:45~10:55 休憩
11:15 穂高小屋(牧場前)売店あり
11:40小鍋谷通過(ゲートあり)
11:50新穂高
費用
温泉¥800 昼飯¥800 土産等¥2100
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